振袖×レース
2023.10.25
ここ最近の振袖で流行りつつある『レース』
成人式の振袖スタイルは、「シンプル」「モダン」のような、華やかさだけでない着こなしがトレンドになっています。普段着でのトレンドファッションと同様に、ここ2、3年、振袖もレトロが流行っています。振袖とレースを組み合わせることで、大正ロマンを感じさせるレトロな雰囲気を演出する事ができ、さらにレースの繊細さが女性らしさもアップしてくれます。
イマドキ、個性、かわいらしさ、を引き出す『レース』。今回は「レース小物」、振袖全体がレースで出来ている「レース振袖」について紹介していこうと思います。
INDEX
1.レースの歴史
ファッションの流れに対応して、レースの種類も非常に沢山あります。レースの起源には現在のところ3つの説があります。
❑ 衣服が古くなって傷んだ部分を繕うための「かがり」が美しいレースに発展した。
❑ 織られた布の端がほどけないようにするため「ふさ」を編む技術が発展した。
❑ 魚網として用いられていた結び目のある「ネット」が発展した。
レースという言葉は、もちろん英語のLACEからきたものですが、その語源はラテン語のラク(LAQUEUE)から転じたとも言われています。この意味は「わな」とか「輪索」でレースの形状が漁獲や狩猟に使用する網に似ていたからとも言われています。
レースの歴史をたどれば、紀元前の狩猟時代にまでさかのぼります。中世の手工業時代にレースは王侯貴族のもので庶民がレースを使うことを禁じた時代もあり、織物の「王様」の名にふさわしいものです。 14世紀末から16世紀初めにかけて、白地白糸刺繍は様々に発展し、16世紀初頭、麻地に刺繍したレースは、より透ける方向が求められ、本当のレースが生まれたのは1540年頃と言われています。それ以降これらのレースは、ベルギーのフランドル、イタリアのヴェネチア、フランスのアランソン、シャンティ等で発展してきました。
当時はまだ機械のない時代のことですから、レースを作るのはもちろん手作業です。気の遠くなるような時間と手間、熟練した職人の技術、そして人員が必要でした。レースのハンカチ一枚が財産目録に載るような、そんな時代だったのです。
レースは権力と贅の象徴として、王侯・貴族に愛されました。宮廷を訪れる貴族たちにグロ・ポワン・ド・ヴェニーズのレースを身に着けることを礼儀として定めたルイ14世や、フレーズと呼ばれる大きな円形の襟を好んだエリザベス一世。マリー・アントワネットのレース好きによる浪費はフランス革命のきっかけの一つとなり、革命によって当時のレースはほとんど焼き尽くされてしまったと言われています。
ヴィクトリア女王の着用したウエディングドレスは、36人のレース職人さんが一年半かけて作り上げた逸品で、女王は即位60周年にもこの美しいレースとヴェールを身に纏いました。
それまでカラードレスが主流だった花嫁衣装に白を用いる伝統が生まれたのは、ヴィクトリア女王のウエディングドレスがきっかけと言われています。
最初は高価な贅沢品としてのみ手に入れることができるものでしたが、次第に技術が普及し、17世紀から18世紀にかけて大衆化されていきました。
レースは女性のファッションに特に人気があり、ドレス、ショール、ボンネットなどに装飾として使われました。また、宗教的な衣服や家庭用品にも利用されました。
19世紀には機械編み機の発明により、大量生産が可能になり、価格が下がりました。これにより、より広範な人々がレース製品を手に入れることができるようになりました。
現代でも、レース生地はファッションやインテリアデザインで人気があり、その美しいデザインと繊細さが多くの人々に愛され続けています。
2.レースのもたらすイメージ
優雅なデザイン
レースの振袖は繊細で美しいデザインが特徴です。レースの模様が振袖に上質な印象を与えます。
上品な印象
レースの素材が持つ透け感や風合いが、振袖に上品さと華やかさを加えます。
柔らかい雰囲気
レースの振袖は柔らかい印象を持ち、女性らしい優雅さを表現することができます。
着心地の良さ
レースの素材は一般的に軽くて柔らかいため、振袖を着た時の快適さも特徴です。
大人向けデザイン
レースの振袖は、大人の女性に向けたデザインが多い傾向があります。洗練された印象を演出します。
3.着物コーデにレースを取り入れるメリット
着物コーデにレースを取り入れるメリットは、主に以下の4点が挙げられます。
❑ 他の人とひと味違ったおしゃれを楽しめる
❑ 写真に写る顔周りを華やかにできる
❑ 甘口コーデだけでなく辛口コーデにもなる
❑ 令和らしいトレンドファッションができる
他の人との差別化、個性を楽しむ
レースコーデが流行しているとはいえ、着物を着る人数や全世代から考えるとまだまだ少数派といえます。レースが一部の人に注目されているのは、レースがおしゃれ度をアップする便利なアイテムだから。和装に少しのレースがあるだけで、周りの人と差をつけられて、ひと味もふた味も違ったおしゃれを楽しめるのです。
甘口コーデだけでなく辛口コーデにもなる
レースコーデの幅は、甘口・かわいい系だけにとどまりません。黒のレースを使ったり、ハード系の小物を合わせたりすることで、辛口・かっこいい・大人っぽいスタイルにも応用できます。
顔周りを華やかに
レースコーデは襟やヘアスタイルに使用することで簡単に顔周りを華やかにすることが可能です。レースによって表情がぱっと明るくなり、写真映えを狙えます!
トレンドファッション
レースを大胆に使った着物コーデは、令和ならではの表現方法といえます。伝統的でシンプルな着物も、レースを取り入れるだけで令和らしいトレンドファッションに早変わり!注目されること間違いなしの、おしゃれコーデになるでしょう。
4.レース小物を取り入れてみよう!
レース帯
レース帯とは、レースの模様をあしらった帯のことです。帯自体が丈夫なレース生地でできているものもあります。
帯は前後左右から360度見られるファッションアイテムなので、レース着物と同じくらいインパクトのあるコーディネートになります。帯の結び方次第で、異なる表情を演出することも可能です。
レース帯揚げ
帯揚げとは、帯のすぐ上に縛る長細い布のことです。帯の後ろ姿をきれいに整える役割もあります。レースの帯揚げは、レースコーデが初めての方でも挑戦しやすいのがポイントです。
レース帯締め
帯締めとは、帯の中心で締める紐のことです。帯のお太鼓結びなどを崩れないように支えたり、着こなしを引き締める役目を果たします。
レース帯締めは、他のレース小物よりも繊細なレース使いのものが多いです。「レースをさり気なく使いたい」という方に向いています。
レース帯留め
帯留めとは、帯締めにつける飾りのこと。金属やガラスなどさまざまな種類があり、アクセサリー感覚でつけられます。
ふんわりとしたレース帯留めを使うと、全体的に優しい印象の着物コーデになります。
レース半衿
着物の首元から見える襟に、レースの半襟を使うのもひとつのアイデアです。和洋をミックスした着こなしとして、レースの襟がついたブラウスやシャツを着物の下に着ることもあります。
レース袖
着物の下にレースの袖を仕込んで、動く度に手首から少し見せるように着るのもおすすめです。レース袖は着ている自分からも目に入りやすいので、自然にエレガントな所作へ導いてくれるでしょう。
レース手袋
レース手袋は、レースコーデの代表格。他の小物に比べて手に入りやすく、洋服を着ているときも活用できます。
レース足袋
レース足袋は、地味になりがちな足先を上品に見せてくれます。足袋のサイズはセンチ単位なので、ゆるすぎずキツすぎない、自分に合ったものを選ぶようにしてください。
レースショール
振袖用ショールにもレース生地のものがあります。レース生地のショールは、様々な柄や色のバリエーションが選べるので、他の人にはない個性を出したい方におすすめです。ただし、シースルー部分が多いという特性上、防寒としての機能性が低い点に注意が必要です。
他にはバックや傘、ヘアーアクセサリーなどに取り入れてもワンポイントになります。
5.レース振袖
レース振袖とは正絹ではないですが、レース地で全て裁縫された振袖です。絹素材では出せない風合いや光沢感が特徴です。一般的には白やベージュ、黒といった一色のみの振袖になりますが、レースそのものの柄による立体感は、絹では出せない違った豪華さがあります。
白ベースのレース振袖は、可憐な女性を演出してくれ、くすみ系ピンクやパステルカラーを取り入れてガーリーな印象を作り上げることが出来ます。真逆の黒ベースのレース振袖はカッコ可愛い女性、ゴシックやロックの個性を出してくれます。
このように、レースはポップにもシックにもなるので、自分だけのオリジナリティ溢れる振袖を作り上げる事が出来るので、人と被りたくない方や個性のコーディネートをアピールしたい方に人気です。
レース振袖を洋服で例えると、黒のシンプルなワンピース。黒一色の魅力がありながら、それによって引き立つバックやアクセサリーと言ったように、小物を引き立ててくれます。
最近は振袖小物(半襟・帯締め・帯揚げ・草履バッグなど)がとってもオシャレになっています!レース振袖は、小物にインパクトを与えて、引き立て、楽しめる一着なのです。そのためオシャレさんほどシンプルだけど、個性をアピール出来るレース振袖が選ばれています。
6.まとめ
一生に一度の成人式、個性を大切に、思いのままのコーディネートに、レースを取り入れてみませんか。