着物に合わせる小物
2023.06.05
一口に着物姿といっても、着物と帯だけでできているわけではありません。成人式向けのカタログなどを見ると帯締めや帯揚げ、重ね襟など様々な小物が載っているかと思います。
更に着物の中に着る長襦袢や、更にその下に着る肌着、裾除け、タオルなどの補正、沢山の土台の上に着物姿は成り立っています。
どんなものがあるのでしょうか、上から順番に見てみましょう。
- 半襟
襟元をすっきり引き締めるのが半襟です。着物の衿の汚れを防ぐ実用的な役目もあり、あらかじめ長襦袢に縫い付けておきます。半襟の基本は白で、塩瀬や縮緬が一般的です。刺繍襟は、普段着から礼装まで様々に使用できます。振袖、訪問着、付下げなどに合わせます。白地に金や銀の刺繍なら、留袖に合わせて礼装用となります。
- 伊達襟
伊達襟を入れると、もう一枚着物を着ているように見えます。重ね着の習慣の名残りで、留袖の「比翼」をさらに簡略化したものです。素材は、綸子、塩瀬、縮緬などで、無地か地紋入りのものが一般的です。近年ではラインストーンやパールなどの飾りがついたものも多く見られますが、これらは振袖に合わせるのが一般的です。基本的には、振袖、訪問着、付下げ、色無地などの礼装用の着物に合わせます。重ね襟、比翼襟とも呼ばれ、着物の襟につけて使います。
- 帯揚げ
帯揚げは着物と帯を調和させる効果があります。素材は綸子や縮緬、羽二重が一般的で、着物の格に合わせて選びます。フォーマルな黒留袖には白が決まりです。振袖には着物と同じくらい華やかなものが似合います。総絞りなどが良いでしょう。色は着物の中の一色を選ぶとまとまりやすく、反対色を合わせるとアクセントになって個性的な装いになります。
- 帯締め
帯揚げとともに、着物姿の印象を左右するのが帯締めです。帯の形がくずれないようにおさえておく役目もあり、布に綿を入れた「丸ぐけ」と、糸を組んだ「組みひも」とに分かれます。現在は組みひもが一般的で、「平組み(平打ち)」と「丸組み」があります。留袖には金、銀、白糸を使った平組みを、振袖には幅広の厚手の組みひもを合わせます。
近年では振袖用の帯締めは、帯留めのような飾りがあらかじめついていたり、ひもの先が枝分かれしていて飾り結びができるものが多く見られます。また、ヴィンテージブームにより丸ぐけや平組みを振袖に合わせるのもレトロな感じがしておしゃれです。
ここまでが表面に見えている小物たちです。
次に表面には見えない土台となる小物を見てみましょう。
《着付けに必要な下着類》
きれいに着物を着付けるには、外から見えない下着や小物類も大切な要素です。
ここでご紹介するものは、着付けに必ず必要な基本的なものですので、はじめに揃えておきましょう。
- 和装用ブラジャー
着物では、凹凸のないすっきりした筒型の体型が理想的なので、洋服のように胸元のラインがはっきり分かるような装いは格好悪く見えます。特に胸の大きな人には和装用ブラジャーがおすすめです。また、ワイヤー入りブラジャーなどのきつい下着は胸が苦しくなる原因になるので避けましょう。
- 肌じゅばん、肌着
肌じゅばんは汗や汚れから着物を守り、冬には保温の役割も果たします。肌に直接身につけるので、肌触りが良くて吸水性に優れたガーゼやさらしが一般的です。袖口にレースや柄のついたおしゃれなものもありますが、礼装には必ず飾り気のない白いものを着ます。
- 裾よけ
裾よけは着物の裾の汚れを防ぎます。腰の部分がさらし布で、裾の部分がキュプラやポリエステルなど裾すべりのいい素材になっています。
腰巻式が一般的ですが、スカート式やキュロット式など様々な形があります。
肌じゅばんと一体型になったワンピース式の下着もあるので、着やすいものを選びましょう。
- 長襦袢
裾よけと肌じゅばんの上から着る下着で、身長に合わせて仕立て、襟には半襟をつけます。色や柄、素材はとても多種多様ですが、始めの一枚を選ぶのなら、礼装からおしゃれ着まで合わせられる薄い色のものがおすすめです。着物の袖口や袖の振りからちらりと見える長襦袢には
、着る人のセンスが感じられます。
当店のレンタル用振袖用長襦袢は、表地を選ばない淡いピンク色のものが多いです。
- タオル
補正用にタオルを三枚使います。ウエストのくびれをなくし、ずんどうの土台を作っておくことで、きれいな筒型の体型を作ります。
またこのタオルは、ひもや帯を締めたときに食い込まないようにクッションの役割も果たします。筒型の体型にひもや帯を締めるとこで、着物の余計なシワもなくなり美しい着姿となります。
腰のくぼみとウエストに巻き、上からひもで押さえておきます。
- 足袋
白のキャラコか木綿、4枚こはぜ(つめのような形をした留め具)、というのが一般的です。礼装から普段着まで幅広く使えるので、まずは1組用意しておくと便利でしょう。また、サイズが大きくて足袋にシワがよっているのは格好が悪いので、足にぴったりしたジャストサイズのものをはきましょう。
キャラコは伸縮性のある素材なので足にもなじみやすいですが、近年ではストレッチ素材の化繊の足袋もあります。
礼装には必ず白をはきますが、色や柄つきの足袋やレース地の足袋などもあり、着物の雰囲気に合わせて足元のコーディネートを楽しめます。
- 腰ひも
布製(モスリン)のひもが一般的ですが、化繊のものやゴム製のベルトなどもあります。
当店では布製のひもを使用しています。
- 伊達締め
胸元からウエストラインを整えるのが伊達締めです。調節したおはしょりを上からおさえる役目もあります。長襦袢と着物を着るときに一本ずつ使用します。
絹、木綿、化繊、モスリンなど素材も様々で、幅広のゴム製のベルトや、ゴムシャーリングが入っているものもあります。
- 帯板
帯板は胴の前の部分にとめて、帯のシワを防ぎます。幅や長さ、素材や色柄などの種類も豊富なので体型や好みに合わせて選びます。
留袖や訪問着は帯幅が狭いため、帯板も幅の狭いものを使用します。帯結びが二重太鼓なら前板のみです。一方、振袖は帯幅が広く、帯板も幅の広いものを使用します。振袖の帯結びは高い位置にあるため、帯の胴巻きが見えるので、後ろ板も使います。
- 三重仮紐
30センチ位の長さのゴムが三重に重なった仮紐で、振袖の帯結びを華やかにするのに欠かせないものです。現在ではメジャーになりましたが、比較的新しい道具なので、お祖母様やお母様の振袖を着る場合もしかしたら無いかもしれません。
着物売り場で普通に売っています。当店でも550円で販売しております、これはお安いです!
- 帯枕
帯結びの形がくずれないように補助するのが帯枕です。形や大きさもさまざまで、お太鼓用、振袖の変わり結び用、などに分かれます。帯枕とひも全体をガーゼで包んで使うと緩みにくく、また身体にひもが食い込まないので痛くなりません。
- 草履
佐賀錦や錦風の布製、またはエナメル草履などですが、晴着ですから靴と同じことで、かかとの高いものでないと振袖に合いません。とくに赤い布製は振袖のときだけに用います。
布製でもエナメルでも、金銀や白などですと、訪問着にも用いることができます。鼻緒がきつくないように、買うときに足に合わせてゆるめてもらうのを忘れないようにしましょう。
- バッグ
佐賀錦、ビーズ、エナメル、メタリック、刺繍など、パーティーに使うバッグでよいのです。
よく草履とセットになっていますが、別々のものを用いてもよいのです。
最近は西陣織で、金銀糸を使った、和洋両用のバッグができています。晴着用のバッグは小型ですから、最小限の品しか入りません。必要に応じてサブバッグなどを使いましょう。
- 髪飾り
最近の流行りはドライフラワーが多いですね、その他伝統的なつまみ細工やリボン、造花、水引、金箔など髪型に合わせて沢山の種類の中からお気に入りを見つけて下さい。
成人式当日に生花を髪飾りとして使う場合のお話です。
花嫁のお色直しだけでなく、謝恩会やパーティーの髪飾りに、生花を使う人がいます。
造花とはひと味ちがって、生花の髪飾りにはどことなくうるおいが感じられます。
蘭の種類は礼装にふさわしい華麗さで、人気があります。一輪でも充分にアクセサリーとしての効果を発揮しますが、洋風な趣が強い花ですから、古典柄の振袖に、結い上げたヘアスタイルでは、ほかに緑を添えるなどして、花そのものが浮き上がらないように使うとよいでしょう。
一輪の花を、そのままで使うときには、花形のはっきりした花を選びますが、カーネーションや大きい菊は、いったん花の形をくずして、花びらを組み合わせ、いろいろな形にまとめます。
かすみ草、スターチスなどのように、小花で軽やかな量感のあるものは、それだけでも華やかですから、謝恩会には一色使いの方が、すっきりと映えます。
自分で作る場合は、ワイヤー(針金)、フローラルテープ、花ばさみを用意します。ワイヤーは細いほうが使いやすく、髪になじみます。
ワイヤーに巻くフローラルテープは目立たない色を選びます。
生花は、それ自体が華やかですから、ヘアスタイルの一部として、デザインしたほうが無難です。飾る上でのポイントは、まとめて大きな形にするよりも、大小のブロックに分けて作り、分散してヘアスタイルにとけ込ませる方法がよいでしょう。かっちり固めると頭が重くみえるので、空間を生かして軽やかに形づけます。
花びんに挿すのと違い、髪飾りに使う花はなるべく長持ちするものがよく、花びらがすぐにしんなりとするものは向きません。長持ちさせるには、花の切り口にティッシュペーパーを巻き、水を含ませて、フローラルテープで巻く方法があります。髪飾りにしてからつけるまで時間あるときは、水をスプレーしてビニール袋に入れ、冷蔵庫や温度の低いところに保存しましょう。
こんなにたくさんの物が使われて初めて美しい着物姿が出来上がります。当店では使うものを全て一つのカゴに入れていますが、これ全部使うんですか?と驚かれるお客様もいらっしゃいます、そうですよね…
でも仕上がって少し動くとひも類がなじんで少し締め付け感は緩和されて楽になりますのでご安心下さい!
でも苦しかったらすぐに遠慮なく言ってくださいね、対処致します。